← TOEIC解説記事

TOEIC長文読解・英文の読み方

単語は分かるのに、なぜ長文になると読めない?

「短い例文なら読める。単語もそこそこ分かる。でも長文になると急に無理になる。」この状態は、単語力や文法力だけでは説明できません。長文では、1文ずつ理解した内容をつなぎ、必要な情報だけを頭に残しながら先へ進む力が必要になります。

公開日: | 更新日:

1文が読めても、長文は別の処理が必要

たとえば次の1文は、ある程度単語を知っていれば読みやすい英文です。

The report that the manager submitted yesterday was approved.

「上司が昨日提出した報告書が承認された」

ここでは、主語 The report、説明部分 that the manager submitted yesterday、動詞 was approved を見抜けば意味を作れます。

ところが長文になると、これに加えて前の文との関係を追う必要があります。

文の構造S・V・O・修飾を取る
文同士の論理理由・逆接・結果を取る
内容の保持前の内容を短く残す

長文読解 = 1文を読む力 × 文と文をつなぐ力 × 内容を保持する力。
1文が読めるのに長文で崩れるなら、後ろ2つを疑うと原因が見えやすくなります。

原因① 知らない単語で処理が止まる

長文でよく起きるのが、知らない単語を見つけた瞬間に思考が止まることです。1語を考えている間に、直前まで読んでいた内容が頭から抜けます。

However, some managers are concerned that employees may become less productive without direct supervision.

仮に productivesupervision が分からなくても、全部を捨てる必要はありません。

However があるので「ここから悪い話・反対側の話に切り替わる」。some managers are concerned から「一部の管理職が何かを心配している」。さらに less があるので「何かが低下する話」と推測できます。

知らない単語があっても、文の方向が取れるなら一度進む。
長文では100%理解してから進むより、70〜80%の意味を保持したまま読み進めた方が全体をつかみやすいことがあります。

もちろん、主語や動詞など文の中心になる単語が分からなければ意味が崩れます。重要なのは「未知語は全部止まる」ではなく、この単語が分からないと文全体が崩れるか?を判断することです。

原因② 文は読めても「だから何?」がつながらない

次の英文を見てみます。

Many companies allow employees to work from home.
This arrangement can reduce commuting time and help workers manage their schedules more easily.
However, some managers are concerned that employees may become less productive without direct supervision.
For this reason, some companies require workers to come to the office several days a week.

1文ずつ訳すだけなら、それほど難しくありません。ただし長文では、頭の中で次のような矢印を作る必要があります。

在宅勤務 → 通勤時間が減る・予定を管理しやすい
However → でも、生産性低下を心配する管理職もいる
For this reason → そのため、週に数日出社させる会社もある

ここで For this reason を取り違えると、「出社しているから生産性を心配している」のように原因と結果が逆転します。

表現役割読むときの合図
because理由「なぜなら」理由が来る
although譲歩「〜だけれど」逆側へ進む
however逆接流れが切り替わる
therefore結果前の内容から結論が出る
for this reason結果「この理由で」対応・結果が来る

長文で重要なのは、接続表現を単語として訳すこと以上に、文章の矢印を示す標識として使うことです。

実際に「because / although / therefore」で読む

Many employees prefer remote work because it gives them more flexibility and reduces commuting time.
Although working from home has several advantages, some people find it difficult to concentrate when they are surrounded by family members or household distractions.
Managers are also concerned that communication may become less effective when team members do not meet face to face.
Therefore, some companies have introduced hybrid work systems, allowing employees to work from home on certain days while requiring them to come to the office on others.

この文章は次のように圧縮できます。

在宅勤務は便利(because:理由)
ただし集中しにくい人もいる(although:メリットを認めた上で問題点)
コミュニケーション低下も心配
だからハイブリッド勤務を導入する会社もある(therefore:結論)

この「4文を4つの日本語訳として覚える」のではなく、1本のストーリーとして圧縮する感覚が長文読解ではかなり大切です。

原因③ 要約するときに意味を強くしすぎる

ざっくり読むことは必要ですが、ざっくり読みすぎると別の問題が出ます。それが原文より強い意味に変えてしまうことです。

原文意味強くしすぎる例
some companies一部の会社多くの会社・会社はみんな
may become less productive生産性が下がるかもしれない生産性が下がっている
some people find it difficult一部の人は難しいと感じる仕事ができない
can reduce減らせる・減ることがある必ず減る

長文では「小さい単語」が精度を決める。
some / many / all、may / must、can / will のような語を落とすと、文章の主張そのものが変わります。

TOEICの設問でも、「本文は may と言っているのに、選択肢が definitely(確実に)になっている」といったズレは誤答の原因になります。

原因④ 全文を日本語に保存しようとする

長文を1文ずつ完璧な日本語にして、それを全部頭の中に残そうとすると処理量が増えます。おすすめは意味を短く圧縮して持つことです。

長い保持:
「多くの従業員は、柔軟性が増えて通勤時間が減るため、在宅勤務を好みます……」

短い保持:
在宅は便利 → でも集中・会話に課題 → だからハイブリッド

次の文を読むときに必要なのは、前文の美しい日本語訳ではなく、次の文とつなげられる最低限の意味です。

長文を最後まで読むための5ステップ

1文読んだら、3〜8語くらいで意味を圧縮する
「在宅は通勤減る」「でも集中しづらい」くらいでOK。逐語訳を頭に保存しない。
because / however / therefore などを見たら矢印を作る
理由なのか、逆接なのか、結果なのかを先に決める。
未知語は「止まる価値があるか」を判断する
分からなくても文の方向が取れるなら一度進む。主語・動詞・設問に直結する語なら確認する。
some / may / can などの弱さを残す
要約しても、原文より強い断定に変えない。
段落を読んだら1文で「結局何?」を答える
細部ではなく「この段落は何を伝えるためにあるか」を言う。

練習するときは、全文和訳の正確さだけで採点しないこと。
①全体の話題、②論理の流れ、③未知語で止まった場所、④原文より強く解釈した場所、の4点を見ると弱点が分かりやすくなります。

ミニ練習:訳す前に「流れ」を取れるか

A local store recently extended its opening hours to attract more customers. Although sales increased during the evening, the store also had to pay higher staffing costs. Therefore, the manager is now reviewing whether the longer hours should continue next month.

まず辞書なしで、次の3点だけ考えてみてください。

  1. この文章は結局何の話?
  2. Although と Therefore は何をつないでいる?
  3. 分からない単語があっても、文章の方向は取れる?
答え・読み方を見る

要約:営業時間を延ばしたら売上は増えたが、人件費も増えた。だから来月も続けるか検討している。

Although:売上増というメリット → 人件費増というデメリットへ切り替える。

Therefore:メリットとコストの両方がある → 継続するか見直す、という結果につなぐ。

たとえば staffing costs が分からなくても、higher ... costs から「何かの費用が増えた」までは取れます。

「単語を増やせば全部解決」ではない

もちろん語彙力は重要です。未知語が多すぎれば長文は読めません。ただ、ある程度単語が分かり、短い英文も読めるのに長文だけ苦しい場合は、単語帳だけを増やしても伸びにくいことがあります。

その場合は、短い長文を読む → 1〜2文で要約する → 引っかかった単語を確認する → because / however / therefore などの論理を確認する → 解釈を強くしすぎていないか確認する、という練習が有効です。

この練習を繰り返すと、知らない単語が1つ出ただけで全文が止まる状態から、文章の骨格を残したまま読み進める状態へ移りやすくなります。

次に学ぶとつながる記事

理解したら、問題演習で確認する

長文の前に、語彙・熟語・文法を4択で反復して基礎処理を速くしておくと、読解に使える余力が増えます。

TOEIC無料問題演習へ →